著者
磯部 哲也
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.326-329, 2013 (Released:2014-05-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1

多のう胞性卵巣症候群(Polycystic Ovary Syndrome : PCOS)は月経不順や不正性器出血の原因疾患となる。当センターにてPCOS と診断された患者の中で鍼治療を行なった21症例を対象とした。鍼治療6回終了後に迎えた月経周期で超音波断層法および血中エストラジオールとプロゲステロンの測定によって卵胞発育と排卵を観察した。月経開始30日目までに卵胞発育または排卵を認めなかった場合にはピルを投与して消退出血を起こさせ鍼治療を4回追加した後に同様の観察を行なった。鍼治療を10回行なって迎えた月経周期30日目までに卵胞発育および排卵を認めなかった症例を無効とし,それまでに成熟卵胞を認めた症例または排卵した症例を有効とした。有効症例の割合は57.1%となった。有効症例において成熟卵胞を認めるまでに要した平均日数は20.6日であり,成熟卵胞または排卵を認めるまでに要した平均施術回数は7.9回であった。今回の検討によりPCOS 症例に対する鍼治療の有効性が認められた。
著者
磯部 哲也
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.264-273, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
19

【緒言】月経前症候群(PMS)は月経前3∼10日に限定する愁訴と定義されイライラが精神的症状の中で最多である。【対象】月経前のイライラを主訴に受診し鍼治療を行なった30人を治療群とし,同症状で無治療の22人をコントロール群とした。【方法】精神症状の程度はSRS—18質問票を用いて測定した。治療群に対して1週間に1回のペースで計6回(1 クール)の施術を行った。SRS 合計点数20以上40未満の症例を両群から選出して連続する月経周期での点数を比較検定した。【結果】SRS 合計点数に関して,選出治療群17症例と選出コントロール群7症例の間および選出治療群の治療前後で統計学的有意差を認めた(P = 0.0080,P = 0.00025)。73.3%(22/30)の症例が治療効果に満足されイライラを含むすべての症状が平均43%の程度に改善した。【結論】PMS の精神症状が1クールの鍼治療によって改善した。