著者
神谷 卓司 和泉 昭宏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.75, 2015 (Released:2015-10-20)

(はじめに) アジアをはじめ多くの国で家庭から出るごみは殆ど分別されずに埋め立てられている中で、日本、韓国、台湾ではそれぞれ特徴あるリサイクルの仕組みが整えられている。  このうち韓国については、プラスチック製容器包装の分別と処理にかかる「資源の節約と再活用促進に関する法律」改正で、制度や分離排出表示が変更されたが、このことはあまり知られていない。 今回、現地にて最新調査を行ったので報告する。 法改正に伴って、プラスチック製容器包装の分離排出表示(識別表示マーク)は、「ペット」(PET)、「プラスチック」「フィルム類」(비닐류(ビニールと呼称)の3種類となり、後者2つはPETを除くHDPE,LDPE,PP,PS,PVC,OTHERが適用材質となった。 ここで、OTHERは2種類以上のプラスチックを使用したラミネートを指す。(まとめ) 今回、 主に「プラスチック」と「フィルム類」(비닐류(ビニールと呼称)を対象に調査した。  その結果、1) 韓国において、複数の樹脂を使用した「フィルム類」OTHERの割合が増加していること。2) 収集実績は、「プラスチック」:「フィルム類」= 49%:51% (2014年KORA調べ)であった。 一方、韓国では「プラスチック」と、OTHERの多い「フィルム類」(비닐류(ビニールと呼称)とを、排出時点の最初から分別している点が、日本と大きく違う。(日本では、材料リサイクル(MR)に不向きの複数の樹脂がラミネートされている「フィルム類」がプラスチックと一緒に収集されている。) 「プラスチック」からは価格の高いリサイクルペレットが作られ、「フィルム類」はからは熱量が高い高品質のSRFが作られることになる。 そして、「プラスチック」は、ベールとペレットが有価で販売されるため、KORAからの支援金が無くても、収集からリサイクルペレットまでのサイクルがうまく機能する、と考えられる。 これは韓国全域の共通ルールであるため市民にも分かりやすいシステムであると考えられた。