著者
福岡 誠行 迫田 昌宏 三宅 慎也 永益 英敏
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.210-211, 1993-12-30
被引用文献数
1
著者
福岡 誠行
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.114-120, 1981-06-15

HOOKER (Genera Plantarum, 1873)は花序が頭状で,花冠は筒状漏斗形,子房は2室,花柱は長くつき出て分裂しなく,集合果になるなどの特徴をもったものをまとめてカギカズラ連とした。その後この連はよくまとまった自然群とみなされ,AIRY SHAW (A dictionary of flowering plants and ferns 8版,1973)は植物体の形状や栄養器官の形質がシクンシ科Combretaceae(特に Combretum)に似ているとして独立した科Naucleaceaeとした。アカネ科とシクンシ科との類縁はすでに指摘されていることであるが,生殖器官からカギカズラ連がアカネ科に属すことに疑問はないし,形状や栄養器官からも何んら矛盾はない。RIDSDALは各子房室に頂生する1個の胚珠をつけ種子に種衣が発達するCephalanthusを独立した連とした。また胎座型,胚珠の形態,果実の裂開のし方,花冠裂片の閉じ方などからカギカズラ属とMitragynaをキナノキ連へ移した。Anthocephalusは偽隔壁があり,子房室の上部1/3は4室,それ以下は2室で,各4室は厚膜組織で囲まれていることなどから亜連として分けた。またタニワタリノキ属などは胎座が小型化し,子房室上部で隔壁につくことなどからタニワタリノキ亜連とされた。胎座型からはここで観察した3属は連として分類しても良いほどの違いがある。しかし扱った属がきわめて限られているためRIDSDALの分類系について充分の評価をすることはできないが,この観察の結果からは妥当な見解といえる。最後にRIDSDALの新しい分類系を紹介しておく。この中でタニワタリノキとヘツカニガキは別属とされている。Cephalantheae Cephalanthus Cinchoneae キナノキ連 Mitragyninae カギカズラ亜連 Mitragyna, Uncaria カギカズラ属. Naucleeae タニワタリノキ連 Adininae タニワタリノキ亜連 Adina タニワタリノキ属,Sinoadina ヘツカニガキ属,他14属. Naucleinae Nauclea, Sarcocephalus,他2属. Anthocephalinae Anthocephalus.