著者
並木勁汰 福田浩章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.5, pp.1-8, 2013-05-20

無線センサネットワーク (Wireless Sensor Networks: WSN) は,センサデータを取得できる複数のノードによって構成される無線ネットワークである.WSN を構成するノードは電源が有限であり,省電力を実現するためにノードの計算資源が極小に抑えられている.したがって,複数のアプリケーションを運用する際,必要なノードに対してのみプログラムを配備する必要がある.また,アプリケーションの稼働場所を変更する場合,プログラムの配備場所を変更する必要がある.WSN ではアプリケーションの開発者がプログラムの配備場所を把握した上でプログラムを記述しなければならない.特に,プログラムの移動を考慮しなければならないモバイルエージェントアプローチではそれが困難である.本研究では,WSN におけるプログラム間通信に起因する煩雑さを改善するため,分散ハッシュテーブルによるプログラムの位置管理を行い,プログラムの配備場所を取得できる機構の提案と実装を行った.また,プログラム位置管理機構によるプログラム位置情報探索のシミュレーションを行った結果,比較的少ない消費電力での位置情報取得が可能であることが確認できた.