著者
立花 仁史
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.1097-1105, 1977-09-01

超音波照射による胎仔着床数,胎仔流死産数,胎仔体重,胎仔の外表奇形,胎仔の骨格異常の惹起作用を得るために,東北大学医学部マウスセンター飼育によるdd-I系,C_3H/He系マウスを用いた.超音波出力は0.5, 1, 2 W/cm^2を用い,周波数は2MHzで,超音波照射時間は2, 5, 10分の3群で実験を行い,超音波照射時期は器官形成期の妊娠7日目〜13日目の間毎日一回午前10時から12時の間連日計7回照射を行い,次の結果を得た. 1. 500mW/cm^2超音波連続照射でdd-Iマウスを用いての実験群では,着床数,流死産数,胎仔体重,外表奇形発現率及び種類,骨格異常において,照射群の各群と非照射群の各群の間に有意差は全く認めなかつた. 2. 1W/cm^2, 2W/cm^2超音波連続波照射で胎仔着床数,胎仔生存数,胎仔流死産,胎仔体重,外表奇形発現率,骨格異常において,照射群の各群と非照射群の各群の間に有意差は認めなかつた. 3. 1W/cm^2, 2W/cm^2超音波連続波照射で,dd-I系マウスを用いての実験群で,胎仔外表奇形の種類に非照射群の自然コントロール群と固定コントロール群にみられない,腹壁破裂,脊椎破裂の特異的な奇形を認めた. 4. 1W/cm^2, C_3H/He系マウスに超音波連続波照射で,外表奇形においてdd-I系マウスの実験と同様に非照射群の各群にみられない脱脳症,腹壁破裂が照射群の各群に出現した.