著者
原 真希 岩見 憲司 藤本 英作 笹重 善明
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.81-87, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)

「目的」人工膝関節置換術(TKA)後1年経過した患者の日常生活動作における自覚的膝違和感と膝関節前後動揺性(AP-laxity)および膝関節機能との関連性を検証した。 「方法」当院で初回TKAを施行した21例21膝関節を対象に、TKA後1年経過時の自覚的膝違和感の指標にForgotten Joint Score(FJS-12)を使用し、AP-laxityはKNEELAX3にて測定した。膝関節機能評価には膝屈曲可動域、膝伸展筋力、10m歩行速度、Timed Up & Go Test(TUG)を用いた。統計解析は、FJS-12の下位項目に対するAP-laxityおよび膝関節機能についてSpearmanの相関係数を求めた。ROC分析よりFJS-12(階段昇段動作)におけるAP-laxityのカットオフ値を算出した。 「結果」FJS-12の総点とAP-laxityに有意な相関を認めず、下位項目である階段昇段動作のみ有意な正の相関を認めた。その他の下位項目に相関は認めなかった。ROC分析よりカットオフ値は10.59㎜であった。FJS-12と膝関節機能は明らかな関連性を認めなかった。 「結論」TKA後1年経過時の階段昇段動作の自覚的膝違和感にAP-laxityが関連することが示唆された。