著者
篠村 恭子
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.18, no.01, pp.20-35, 2018-03-20 (Released:2019-04-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究は,初等教育教員養成段階の大学生の小学校での「理想の外国語授業1」のイメージ(以下,「理想の授業」)が児童英語教育関連科目の1 年間(前期・後期)の受講を通してどのように変容するかを明らかにすることを目的とする。調査は,平成28 年度に計4 回(前期・後期講義それぞれの初回と最終回)行い,毎回の講義終了時に学生に記録させた振り返りレポートの記述と併せて分析した。 受講した学生のうち,中学校英語科教員免許状を取得予定で自身の英語運用能力に対する自信が高い学生(学生A)と取得予定は無く英語運用能力に対する自信が低い学生(学生B)の2 名を抽出し, SCAT(Steps for Coding and Theorization,以下,SCAT;大谷,2011)という質的分析の手法を用いて分 析を行った。その結果,学生A は受講を通して「理想の授業」に変容が見られ,徐々に外国語授業の「指導者」としての視点を獲得していったが,学生B については1 年間を通して「理想の授業」に大きな変容は見られず,外国語授業の「指導者」としての視点の獲得も見られなかった。