著者
米崎 里 多良 静也 佃 由紀子
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.16, no.01, pp.132-146, 2016-03-20 (Released:2018-08-02)
参考文献数
22

本研究は,数年後に迫る小学校外国語活動の教科化および低学年化に対して,小学校教員は現在どのような不安を抱いているのか,そして,その不安はこれまでの教員の意識調査で明らかになった不安とどのように異なるのかを明らかにし,小学校外国語活動・英語教育をサポートするための教員研修のあり方について提案することを目的とする。これまでの意識調査で用いられてきた質問形式は主に多肢選択式が多く,質問項目が調査側の視点や思いに偏る傾向になるため,本研究では,自由記述式を採用し,教員の心情をそのまま表現できるように工夫した。そして計量テキスト分析を通して,小学校教員の外国語活動の教科化および低学年化への不安の構造化を試みた。その結果,教科化および 低学年化には「教員の英語力・指導力」「国語や他教科とのバランス」「児童の負担・混乱」に関する共通の不安が抽出され,また教科化のみの不安として「評価への不安」が,また低学年化のみの不安として教員の「小学校英語教育の本質の理解」が抽出された。「教員の英語力・指導力」に関する不安は,20 年前の小学校英語導入期から課題として長年指摘されてきたものであるが,相も変わらず,その課題は教員の心の中から払拭されず未解決のままであり,そして,「低学年化する本質的な理由がわからない」といった新たな不安も加わり,外国語活動の新たな政策が実施されようとしている。