著者
絶海, 中津
出版者

書名は序首による。別書名「絶海和尚語録」等。絶海中津(1336-1405)は相国寺に住し、義堂周信と並び称せられた五山の詩僧で、蕉堅道人と称した。川瀬一馬著『五山版の研究』では、本書は、明永楽元(1403)年の明僧道聯及び道衍序、同2年心泰跋、如蘭書蕉堅稾後等が付されていることから、室町初期頃の刊行と推定されている。また、本書の伝本に絶海入明当時からの詩文を門人慧奯(かつ)が編録した「蕉堅稾」と併せて2冊になっているものがあり、それが本来の形であろうとされている。当館ではこの2冊とも所蔵しているが、それぞれ別のものとして扱っており、「蕉堅稾」の請求記号は「WA6-79」となっている。両書とも、同一の元表紙に同一書体の書き題簽を有し、版式・装訂も同一、共に巻頭及び表紙に「善慧軒」の印記を有する。現在は、この両書を1帙にまとめて保管している。当館本「日本国絶海津禅師語録」には、永楽元年の道聯序のみが付されており、表紙の書き題簽は「蕉堅師語録」となっている。書中、部分的に朱点・朱引きがみられる。医者で蔵書家としても知られた土肥鶚軒(1866-1931)から三井文庫を経て当館が収蔵。「善慧軒」以外に「鳳岡」ほか未詳印2種が押捺されている。