著者
荒川 正文
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.16, no.164, pp.319-321, 1967-05-15
被引用文献数
2

粉体粒子の付着、凝集の程度を知るためにいくつかの方法が試みられているが、その中で粉体充てん層のせん断応力と荷重の関係からクローン式により粒子間凝集力を測定する方法を試みた。この方法で得られる凝集力はせん断面あたりの力であるが、これに充てん層の空隙率、試料粒子の平均粒子径、粒子1個に対する隣接粒子の平均接触点数を考慮すれば粒子接触点1個の凝集力を計算することができる。粒度の異なった数種のホワイトアランダムを試料としてこの方法で粒子径と粒子間凝集力の関係を調べた。その結果、この試料では脂肪酸処理による粒子の表面の疎水化の効果はほとんど認められない。また、粒子径が小さくなるほど凝集力も減少するが、その力は吸着層を伴ったvan der Waals力の範囲である。しかし、van der Waals力による凝集力は粒子径に比例するといわれるが、この実験では微粒子では粒子径が1/10になると凝集力が1/100程度になった。これは、充てん層のせん断面あたりの凝集力を粒子接触点1個あたりに換算するときに用いたRumpfの仮定に誤りがあると考え、実験結果から逆に補正をすると高空隙率充てんの微粉体では粒子1個の平均接触点数が約2.3となり、微粒子の凝集は珠数状の連りで、かさ高い網状構造を形成していることが推定される。