著者
荒木 寿枝
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, 1967

光線過敏症の研究は,1900年Raabの,acridin溶液中でぞうり虫が数分間の日光照射により死亡するという研究,および1931年Hausmannの,hematoporphyrinで前処置された白鼡が,暗所では何らの異常反応も示さないのに,日光照射を受けると数分ないし数日以内に死亡し,その時間は色素量および光量に比例するという報告,すなわちphotodynamic action(光力学的作用)に関する研究にはじまつた.その後1939年Stephan Epsteinがsulfonamideによる光線過敏症の研究において,その作用機序としてphotoallergic(光アレルギー性)とphototoxic(光毒性)の2つのmechanismの存在の可能性を示唆した.さらに,BurckhardtおよびBlumらのsulfonamideについての実験により光アレルギー現象の基礎が確立された.すなわち生理的食塩水で1%に稀釈したsulfonamide溶液を人体皮内に注射し,その部にquartz lampを用いて最小紅斑量(MED)以下の長波長紫外線を照射すると,全例において照射後直ちに紅斑が発生,色素沈着を残して数日以