著者
荒田 晶子
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.14-18, 2019 (Released:2019-04-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1

橋結合腕傍核(PB)は,Kolliker-Fuse核(KF)を含む複合核であり,呼吸調節中枢として知られている.新生ラット(0-4日齢)から摘出橋-延髄-脊髄標本を取り出し,PBがどのように呼吸に関与するのか調べた.PB刺激により,C4吸息性活動は,一過性の抑制か吸息相の終了を示した.このC4吸息性活動の抑制は,NMDA受容体遮断薬により減弱し,GABAA受容体遮断薬によって消失した.また,PBで記録された呼吸性ニューロンのほとんどが吸息-呼息(I-E)ニューロンだった.PB刺激により,延髄の吸息性ニューロンはIPSPsを受け,呼息性ニューロンはEPSPsを受けていた.このことより,PBは無意識的な呼吸から意識的な発声へ切り替えるモードスイッチ機構であると考えられる.