著者
菊地 紗耶 佐野 ゆり 小澤 千恵 平野 秀人 小林 奈津子 本多 奈美 松岡 洋夫
出版者
日本精神保健・予防学会
雑誌
予防精神医学
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.102-113, 2016

周産期におけるメンタルヘルス支援は、妊娠期および産後の母親のメンタルヘルス支援だけでなく、子どもの健全な身体的情緒的発達や、夫婦や親子といった家族関係の問題まで幅広い支援が求められている。地域母子保健や産科医療機関におけるスクリーニングは全国的に浸透してきているが、今後はそのスクリーニングを生かすために、その後のアセスメントと支援の質の向上がより重要になる。母子保健担当者や助産師等によるアセスメント能力の向上、支援技術の充実、更に必要な妊産婦に適切な精神科医療を提供するという一連の流れを全国的に実施できるような体制が必要である。各地域で積極的に取り組んでいる母子のメンタルヘルス支援の実践を生かし、今後は日本の医療保健福祉の資源に見合った、体系だった支援体制の構築という次の段階に進む時期である。