著者
三浦 弘志 堂脇 昌一 菊永 裕行 熊井 浩一郎
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.161-165, 2015-01-31 (Released:2015-05-13)
参考文献数
19

症例:82歳,女性。腹痛持続で当院緊急搬送され,ショック状態・貧血を認め,腹部CTで肝外側区域の肝細胞癌破裂と血性腹水貯留の診断でTranscatheter Arterial Embolization(以下,TAE)施行し止血を行った。高齢と本人が二期的治療を望まない理由で保存的観察となった。その後肝細胞癌は縮小傾向で腫瘍マーカーも低下し,当院での経過観察上4年4ヵ月再発なく5年7ヵ月生存している。肝細胞癌破裂においてはTAEでの初回止血と二期的手術との併用により生存率向上が得られるという報告が多いが,今回TAEのみで止血に成功し二期的治療を行わず腫瘍退縮が得られている1例を経験した。