著者
李 菁菁 石村 眞一 近藤 加代子 菊澤 育代
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.3_47-3_54, 2016-09-30 (Released:2016-12-21)
参考文献数
24

本論文は、映画シーンにおける電気炊飯器に関する使用実態の分析を通して、製品の機能進化、使用方法、生活との関連性を明らかにすることを目的とする。1945 年から2009 年までに制作された映画で映し出される家庭生活場面の調査より、以下の内容を明らかにした。1)ダイニングキッチン1室に台所・食堂の機能が統合され、またジャー機能付き電気炊飯器が使用されるに従って、炊飯の後に、運んだり保存したりする作業の必要がなくなった。2)電気炊飯器および保存器具の使用方法には、住宅空間、経済状況、家族構成の他、便利さを求めるか、食文化の作法を守るかという文化的な志向性も影響する。3)電気炊飯器およびジャー炊飯器などは、上流階級というよりも、LDK 型の住宅にすむサラリーマンの家庭生活から普及する傾向が見られ、他の電気製品とは違う傾向があった。