著者
葛西響子 山本景子 倉本到 辻野嘉宏
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2014-UBI-44, no.8, pp.1-8, 2014-10-07

人前で話をする場面において,不安や緊張が生じてしまい,話し手の頭が真っ白になり,思った通りに話せなくなる場合がある.本稿では,この人前で話をするときに生じる不安や緊張を緩和することを目的とし,聴衆に肯定的な反応を重畳することによって不安や緊張を和らげる手法を提案する.この提案手法に基づき,聴衆ににこにこしてうなずくカボチャの画像を重畳するシステム 「コウテイカボチャ」 を実装した.そして,コウテイカボチャが,実際に人前で話をするときに生じる不安や緊張を緩和できるか,および,人やカボチャの表情が人前で話をするときに生じる不安や緊張にどのような影響を与えるかを評価する実験を行った.その結果,人やカボチャが睨んでいる場合は人前で話をするときに生じる不安や緊張が大きくなり,人やカボチャが笑顔である場合は人前で話をするときに生じる不安や緊張が小さくなることがわかった.つまり,コウテイカボチャは,睨んでいる人が見えるときよりも人前で話をするときに生じる不安や緊張を緩和できることがわかった.さらに,緊張しやすい性格の話し手に満足感を与える効果は,笑顔のカボチャよりも笑顔の人の方が大きく,緊張しやすい性格の話し手の緊張感を緩和する効果は,笑顔の人よりも笑顔のカボチャの方が大きいことがわかった.