著者
薄木 成一郎 西本 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.103-108, 2012 (Released:2012-10-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2

僧帽弁置換術(MVR)後に利尿剤服用中にもかかわらず治療抵抗性の胸水貯留を認め,五苓散追加投与にて改善した症例を経験した。症例は60歳の男性で,MVR 施行2年後でフロセミド60mg 及びスピロノラクトン25mg/日を服用中であったが,労作時呼吸困難と共に右胸水を認め,穿刺排液を2度行い,スピロノラクトンを50mg/日に増量するも,胸水の再度の増加を認めた。そこで,五苓散7.5g/日を追加し,胸水量の減少,安定化を認めた。このように,心不全に伴う胸水が利尿剤にてもコントロールが難しい時,五苓散追加投与が選択肢に成り得ると考えられた。