著者
藤居 良夫 渥美 浩和
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.61-70, 2008-02-25
参考文献数
7
被引用文献数
2

冬季五輪開催都市である長野市を対象にして, 市街化区域外である都市縁辺部において農振除外, 農地転用, 開発許可の動向を調べ, 開発許可と関係性のある要因の抽出と開発許可の空間的特性を把握し, 土地利用の規制における問題点と課題を検討した. その結果, 土地利用の変化は, 冬季五輪の開催に伴う施設の建設や交通網整備の影響を強く受けており, とくに行政主体で行われた農振除外と公的転用が長野市におけるスプロール化を促進させたこと, 農振除外や農地転用は地域全体の土地利用の計画性を考慮することなく行われ, その後の土地利用の規制に対しても不備であること, したがって, 市域全体にわたる包括的な土地利用制度が必要であることなどがわかった.
著者
藤居 良夫 竹田 智晴
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.79-86, 2009-02-25
参考文献数
13

地方都市においても,生物多様性の保全や自然との共生が求められている.本研究は,冬季五輪が開催された長野市を対象に,五輪開催前後である1985年と1999年の2時期のLandsat TMデータを利用して,土地被覆変化を調べ,景観指標を用いて景観構造の変化を定量的に把握した.その結果,長野市の都市計画区域では,五輪開催前後において,人工物の土地被覆は約57%増加し,一方で,畑地は約45%,水田は約50%減少して,農用地から市街地への変化が大きいことがわかった.とくに,水田と畑地においては,各パッチが小さくなることで,パッチ面積の不均等が縮小したと考えられる.また,水田,畑地,果樹園などの農用地で分断化が起きていることが明らかになった.