著者
井上 幸一 長谷川 武志 荏原 包臣 桑原 敏樹 藤田 良範 新谷 博一
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.93-104, 1988-03-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

心筋梗塞回復期の男性患者54名に入浴の負荷試験を日常と同じ体を洗う動作を加えて行い,同時に40℃と42℃とを比較し,入浴の安全性と適温について検討した.PRP (pressure rate product)は温浴直後と洗う動作で増大し,心電図変化はST偏位が温浴と洗う動作で,期外収縮が温浴直後に多く出現し,1回心拍出量を表すPEP/ETは温浴で低下し,これらの変化は40℃より42℃で大きかった.臨床経過や検査成績を軽症と重症に分け比較すると,急性期Peelの予後指数10以上の例,リハの心合併症出現例,運動負荷試験の成績不良例,筆者らのHolter DCGの分類3以上の例など重症な例では,入浴時に心電図変化の出現が多く注意を要した.一方,軽症例では変化が少なく安全と考えられた.