著者
藤野 治 松井 正和
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.241-246, 1982-05-05
被引用文献数
1

炭素チューブをアトマイザーに用いたときのイッテルビウムのフレームレス原子吸光分析について基礎的検討を行いリン酸塩鉱物へ適用した.本法により検量線を作成した結果(10〜40)ppbの範囲で直線となった.一酸化二窒素-アセチレン炎に比較し,感度は約150倍高いことを示した.又共存塩類はイッテルビウム(35ppb)の(10^2〜10^3)倍にかけてほとんどの元素が干渉を示さなかった.しかし高濃度のカルシウムとリンが同時に共存すると,イッテルビウムの原子化速度は速くなり.ピーク吸光度が増大した.ゼノタイムやモナズ石試料は硫酸に溶解,希釈し,そのまま炭素チューブアトマイザーに入れて直接定量を行った.得られた含有値は誘導結合高周波プラズマ(ICP)発光分光分析による結果と極めてよく一致した.又アパタイト鉱物は硝酸に溶解後,10M過塩素酸において,0.1M ジ-2-エチルヘキシルリン酸-シクロヘキサン系で抽出分離し,有機相中のイッテルビウムを測定,定量した.