- 著者
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虎關師錬 [著]
- 出版者
- 薩陽和泉莊
- 巻号頁・発行日
- 1481
漢詩を作る際に韻字を探すための書として編まれたもの。国書として最初に上梓されたもので、大変便利な書であったため、中世期において頻繁に改版され、また全国各地で刊行された。『下学集』や『節用集』といった辞書の類は、いずれも本書の影響を受けているとされ、慶長以前の刊本だけでも20種以上に及ぶという。嘉元4(1306)年の虎関師錬自序、徳治2(1307)年の叟一寧跋をもつ本書の、刊記のある最古の版は応永19(1412)年刊本とされている。当館でも数種を架蔵するが、該書は、文明13(1481)年に薩摩和泉荘で刊行され、「薩摩版聚分韻略」として世に知られている伝本稀な版である。巻1から巻4の三韻を三段に重ねた、いわゆる「三重韻」の形式の最初の刊本で、全紙裏打ち改装された当館本には、全巻に朱墨の書き入れがあり、音訓・唐音が加えられている。巻初に江戸の町人学者で蔵書家としても知られた狩谷棭斎(1775-1835)筆とみられる別紙が貼付された棭斎旧蔵本である。