著者
西村 由美子 有村 達之
雑誌
心理・教育・福祉研究 : 紀要論文集 = Japanese journal of psychology, education and welfare
巻号頁・発行日
no.19, pp.9-17, 2020-03-31

失体感症とは身体感覚を感じることができない状態のことを指す。本研究では母親の失体感症傾向と虐待傾向との関連性についての調査を行った。調査対象は,幼児以下の子どもを持つ母親172名,およびに小学生以上の年齢の子どもを持つ母親155名の合計327名であり,失体感症と子ども虐待傾向について質問紙による調査を実施した。幼児群,小学生以上群のそれぞれについて失体感症傾向と虐待傾向との間の関連性を分析したところ,失体感症と虐待傾向には有意な相関が観察された。失体感症傾向を持つ母親は,体調などの身体感覚を感じ取ることで適度に休憩をとったり,ストレスに対処することが苦手なため,ストレス反応として子どもに対して怒りを表出してしまう可能性が考えられた。