- 著者
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西海 俊佑
- 巻号頁・発行日
- 2012-03-22
日本全体で景気が低迷する中、少子高齢化や過疎化あるいは都心への移住の増加により地域間の経済格差が加速してきている。このような問題への取り組みとして、地域資源や特産品の開発、地域に特化したコミュニティを作る等、各地で様々な取り組みが見られる様になった。そんな中、近年ではパブリックアート( 以下PA) が都市や地方に関わらず様々な場所で見受けられる様になった。本来アートは施設内での公開展示が中心であったが、屋外や公共空間に展示されることで、人の目に触れる機会が増加し展示場所に広がりが生まれた。その形態や表現方法あるいは設置場所の性質も多様化していると考えられる。日本のPA は1960 年代から行政機関及び民間企業によって都市景観の形成・地域文化の向上等の目的で設置されてきた。設置当初から見て、PA の期待される性質は変化してきている。近年の日本における少子高齢化、都心への移住の増加による地域格差が加速してきている現状をふまえると、このようなまちおこしへの姿勢をおさえ、課題や可能性を考察する事には意義があると考える。本研究では、北海道におけるPA を調査対象として、その設置状況や利用や管理等の変遷について俯瞰的に把握し、それらの傾向と実態を分析することを目的とする。