著者
西牟田理沙 八谷 瑞紀 宮垣 宏規 宮﨑 郁弥 大田尾 浩 溝上 泰弘 田久保順也 鎌田 實
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.35-41, 2021-02-26 (Released:2021-04-16)
参考文献数
16

本研究の目的は,サルコペニアの診断基準である The Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)2019に基づき,中・高年者をダイナペニア群と健常群に分け,ダイナペニアに影響する身体,認知,生活・精神機能を明らかにすることである。対象は,中・高年者108名とした。評価項目は,30秒椅子立ち上がり検査,timed up and go test(TUG),5m歩行時間,mini-mental state examination,基本チェックリスト(生活機能全般,うつ傾向)を採用した。統計処理は,従属変数をダイナペニアの判定,独立変数を各項目とした多重ロジスティク回帰分析を用いて検討した。有意な関係を認めた項目はカットオフ値を算出した。多重ロジスティク回帰分析の結果,TUG,生活機能全般に有意な関係を認めた。ダイナペニアの有無を確認するためのカットオフ値は,TUG6.3秒(87.5%,89.0%),生活機能全般2.5点(62.5%,74.0%)であった。結果より,TUG の所要時間が遅い者,生活機能全般の点数が高い者はダイナペニアになる可能性が高いことが明らかとなった。これらから,ダイナペニアの早期発見には,TUG および生活機能全般による評価の重要性が示された。