著者
要藤 正任
出版者
Japan Association of Social Relations
雑誌
社会関係研究 (ISSN:27581128)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-15, 2022 (Released:2022-11-21)

近年、地域活動に対する関心が高まってきている。地域活動への参加と個人の主観的幸福度との間には深いつながりがあることがこれまでにも指摘されてきたが、地域活動への参加は本当に主観的幸福度の向上につながるのだろうか?本稿では、全国的なインターネット調査から、地域活動への参加と主観的幸福度との関係を検証した。分析にあたっては、逆の因果関係などによって生じる内生性の問題に対処するため、回答者の子供の頃の両親・祖父母の地域活動への参加を操作変数として用いた推定を行った。結果、地域活動への参加することが個人の主観的幸福度を高めていること、また、地域の生活環境の改善や幸福感の伝播といった経路を通じて活動に参加していない人の幸福感を高める可能性があることが分かった。以上の結果は地域活動への政策的取組みの意義をサポートするものであり、地域活動の価値を幸福度という側面からも評価できる可能性があることを示している。