著者
小原 陸生 角本 進 岡田 寿明
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.23, no.13, pp.163R-169R, 1974
被引用文献数
1

単体半導体, 無機化合物半導体および電子セラミックスの分析法について, 前回の進歩総説のあとを受けて1971年から1973年までの文献を主体に取りまとめた.今回特に目だった点は, イオンバックスキャッター法・原子核反応法・オージェ電子分光法・ion microanalyzer (IMA) 法など, 新しい物理的分析法の実用化が軌道に乗りはじめて, 基礎検討の段階から一歩進んで実際の半導体素子へ適用した報告がぼつぼつ現われてきたことである.半導体の表面や限定された微小部分に関して得られる情報は, これら分析手法の導入によって大幅に増加し, 半導体工学に対する寄与を一段と高めた.一方, ソ連・東欧を含むヨーロッパ諸国を中心として, 従来のオーソドックスともいえる化学的分析法が今もなお盛んに利用され, 所を得た使い方をされている.このことは, 半導体分析の場合, 特に各種の分析法を目的に応じて相補的に活用しなければならないことを物語っている.