著者
樋口 裕介 谷川 祐二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1159-1165, 2016-11-30 (Released:2017-03-18)
参考文献数
19

大腸憩室出血に対する内視鏡的止血術として,Endoscopic Band Ligation(EBL)の有用性を後方視的にクリップ法と比較検討した。対象は内視鏡下に活動性出血または露出血管を同定し,EBLを施行した37例とクリップ法を施行した11例。入院期間はEBL6.6日,クリップ法11.5日。輸血はEBL群37.8%に平均2.2単位,クリップ法群54.5%に平均3.6単位投与した。EBL後81%で憩室は消失した。再出血率はEBL後5.4%,クリップ法後36.4%で,入院医療費はEBL375,570円,クリップ法617,060円と有意差を認めた。EBLは憩室の消失により再出血率が低く,短い入院期間による医療費削減効果があり,有用である。