著者
谷浦 孝雄 Takao Taniura
巻号頁・発行日
vol.3, pp.69-79, 2005-03-31

21世紀に入って、韓国では30歳未満の青年層の失業問題が「青年失業」という名の下に注目されている。1997年の経済危機で大量失業事態を引き起こしたが、2001年以降30歳以上層では失業率は3%内外に低下する一方で、青年層は7%台に止まったままなのである。その要因として、労働市場の変化、企業の経歴者・非正規職選好が高学歴化・経験不足の青年層の希望とミスマッチしていることがあげられている。本論では、韓国の変化している労働市場の実態、高学歴化と学卒者の就職難の状況を検討し、高学歴化のなかで大学教育がむしろ青年たちの社会適応とくに職業適応能力の向上を阻害しているという仮説を導き出している。