著者
星 座 小沼 純貴 千葉 香織 菅原 一晴 赤塚 邦彦 宇都 正幸
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1129-1133, 1999-12-05
被引用文献数
1

弱酸性領域におけるアミノ多糖類キチンのアセチルアミノ基のプロトン化に基づく陰イオン交換体としての機能を利用し, 銅をそのバンクプロインジスルホン酸 (BCS)錯陰イオンとして濃縮した後, キチン相の反射吸光度を直接測定して銅を定量する方法を検討した. 銅はpH5の水溶液 20 cm^3からキチン相20mg上にBCSキレートとして短時間のかくはん時間で迅速に濃縮された. キチン相中の1 μgまでの銅と484 nmにおける固相吸光度との間に直線関係があった. 銅0.5μg, 9回測定の相対標準偏差は2.89%であった. VO_3^-やFe^<3+>の許容量はやや低かったが, 金属イオン, 還元剤及び一般の無機陰イオンなどは1000〜10000倍共存しても影響しなかった. 本法により国立環境研究所の生物標準試料中の銅の定量を行った結果, 鉄の共存量が比較的少ない試料中の銅の分析値は保証値と良く一致した.