著者
越路 正敏 坪井 宏樹
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.384-391, 2019 (Released:2020-03-06)
参考文献数
16

摂食行動により,吐き気,嘔吐症状が持続する女性に対し,種々の西洋薬や幾つかの漢方薬が無効であったが,最終的に二陳湯の投与により軽快した症例を経験したので報告する。治療経過中の処方には,六君子湯や小半夏加茯苓湯もあったが,いずれも効果がなかった。構成生薬から勘案するに,嘔吐に心因的な要素がある場合には理気薬が必要であり,逆に脾虚がない場合には,補気薬は余分な生薬となることが推察された。