著者
越阪部 奈緒美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.726-731, 2016-09-20 (Released:2017-09-20)
参考文献数
12

近年植物性食品に含まれるポリフェノール類は,食品の機能性研究の大きなターゲットの一つとなっている.ポリフェノール類を豊富に含む食品の摂取は,心血管系疾患のリスクの低減につながるが,そのメカニズムについてはいまだ不明な点が多い.その理由としては,ほとんどのポリフェノール類の生物利用性が極めて低いことにある.われわれは最近,ポリフェノール類が摂取直後から循環系・代謝系に変化を与えること,またその変化がアドレナリン受容体阻害剤で消失することを見いだした.これらのことは,ポリフェノール類が消化吸収を経ずに,交感神経を刺激することを示している.本稿では,ポリフェノールの作用メカニズム解明に対する最近のアプローチについて解説する.