著者
早川 嘉彦 近藤 煕
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.264-270, 1987-12-31
被引用文献数
3

草地の低コスト更新法として,除草剤などで前植生を抑圧し,不耕起で追播する方法がある。本報告では,ケンタッキーブルーグラス,レッドトップ(以下それぞれKB,RTと略す。)などの地下茎イネ科草種優占草地を効果的に抑圧する処理法として,除草剤(パラコート液剤またはグリホサート液剤)または掃除刈り処理を行い,その後駆動ホイル式施肥播種機によりオーチャードグラス,メドウフエスクおよびラジノクローバ(以下それぞれOG,MFおよびLCと略す。)を播種した。なお,対照として反転耕起法による更新区を設けた。不耕起区の播種牧草の発芽はどの処理法でも良好であった。しかし,パラコートおよび掃除刈りによる地上部の一時的抑圧処理ではKB,RTの地下茎が生存し,それから再生するKB,RTとの競合の結果,播種牧草は定着できなかった。一方,グリホサート除草剤処理は地下茎も含め前植生を完全に枯殺し,反転耕起処理なみの高い抑圧効果を示した。しかし,グリホサート除草剤による全面枯殺後,本試験のように条間20cmで播種すると、畦間の裸地が播種牧草により完全に被覆されないため,生産性の低下や雑草侵入の原因となることが懸念される。今後,裸地の生成し難い適切な播種方法の検討が必要となろう。