著者
迫田 順哉
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.14-24, 2019-04-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
27

家庭で飼育されているネコにおいて食事の吐き戻しの経験率は6割であった。この現象に対して飼い主の関心は高いものの、ほとんど対策は取られておらず消費現場で問題となっている。従来の多くのペットフードはエクストルーダーにて成型され、その後に栄養調整や嗜好性を上げる目的として油脂類がコーティングされる。エクストルーダー成型によってキブルが硬くなると同時に表面の油量が多い事によって、キブルは水分を弾きやすくなる。この吸水速度の遅さが胃内での胃液消化が開始されるまでの時間の遅延につながっている可能性があると考えた。そこで、吸水性能と離水性能を兼ね備えたリグノセルロースや繊維粒径の大きい精製セルロースを生地に練り込んだキブルや、エクストルーダーの先端で充分に膨化した状態でカットする製造方法によって作成したキブルを作成する事で、吸水速度の向上と短時間でのペプシン消化率の上昇を実現した。このような吸水速度が速く離水性能の高いドライキャットフードを、吐き戻し頻度の高い単頭飼育の家庭ネコに対して給与したところフードの吐き戻しの頻度を軽減する事が確認された。