著者
鄭 求宗
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究
巻号頁・発行日
vol.19, pp.5-16,171, 2004

この報告は,冷戦の終焉という国際秩序の変化が国内政治•社会の変化を引き出すという仮説を選挙を通じてどのように確認できるか,その経路を検証することに重点をおいている。2002年韓国の第16代大統領選挙は,地域主義や政党•政策対決に代わる「世代」という変数が選挙過程で深く影響を与え,世代間投票行動の差異が選挙を動かした。世代間対立の軸は,冷戦期間中のイデオロギー的対立のキーワードであった安保観と経済観の差異で形成され,保守と進歩に分かれて争った。世代間の対決では,有権者の48.3%を占める20,30代の若年層有権者が,戦後世代の盧武鉉候補支持態度を確執し,盧氏の勝利に大きく寄与した。この選挙の結果は,国内における冷戦構造の解体を反映するものであった。冷戦期間中の安保観と経済論理は,もはや韓国社会の主流でないことを2002年12月の韓国大統領選挙の結果が教えている。