著者
西岡 智哉 酒井 基介 平野 匠 住友 寿明
出版者
徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究課
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-6, 2015 (Released:2019-01-22)

2009年7月から2011年6月にかけて,吉野川汽水域において,ヤマトシジミの幼貝および成貝の分布,成長および減少要因について調べた。その結果,吉野川においては,幼貝,成貝とも第十北から応神にかけて分布することがわかった。また,ヤマトシジミが殻長15mmに達し,成熟するまでに3年を要すること,幼貝の密度は高いが成貝が著しく少ないことが明らかにされた。その理由として,成貝に達するまでにほとんどの個体が大雨による増水後に流出していることが示唆され,その影響は上流部ほど強かった。下流域では幼貝および成貝ともに個体数が少なく,高塩分にさらされることで着底稚貝が死亡している可能性がある。