著者
逸見 英枝 金山 弘代 土井 英子
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.69-76, 2007

A短期大学においては、医療現場や社会の変化に対応すべく2006年カリキュラムを一部改正した。改正した科目の一つに「医療概論」がある。改正した内容は、科目名、教育内容、担当教員、時間数、開講時期などである。本研究は、今回改正後初めて当科目の講義が終了したため、教育目的と学生の学びを照らし合わせ、教育効果を明らかにし、教育内容を検討する一助とすることを目的した。分析対象は、講義終了後学生が提出したレポートである。その結果、学生の学びとして、理想的な医療とは、【相手を思いやる姿勢でコミュニケーションをとり、信頼関係を築く医療】【患者のQOLが高められるような医療者個々の質の向上】【他職種との連携による保健・医療・福祉システムの構築】【患者の尊厳を護る患者中心の医療提供】【確かな知識と技術を持ったリスクマネージメント】となった。その中でもコミュニケーションと信頼関係が医療の根幹をなすこととし、当科目の教育目的に合致し教育効果があった。今後の課題として、バイオエシックスについての授業を取り入れること、医療概論は医療・福祉・保健の基盤に立った授業内容にすること、理念の理解にとどまらず臨地実習で実践力をつけていくことが明らかになった。