著者
釜屋 洋子 段ノ上 秀雄
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.60, pp.143-152, 2019-03-31

A大学看護学部看護学科では、入学後の学習に対する不安を少しでも軽減できればと考え、推薦入試、AO入試、一般入試(A日程)による入学予定者に対し、入学前の課題として、"看護学生プレトレーニング"(メヂカルフレンド社)に取り組むことを勧めた。"看護学生プレトレーニング"は、「計算と数字」、「看護に生かす理科」、「言葉と文章」の3 つで構成された入学予定者用のテキストである。簡単な演算から濃度や速度の計算、理科では咳嗽(せき)や喀痰(たん)などの簡単な専門用語を使ったり、物理が看護に応用されることなどを理解し看護師の目線で学習できる。また、敬語や言葉遣い、文章を書くときのルールなど基礎知識として必要な項目が充実しており、看護を学習していくうえで効果を体感できる教材であると思われた。 平成30年度の入学者のうち90名が取り組み、学習後は解説書を使って自己採点し復習をした。入学後にアンケートを行った結果、ほとんどの学生が、課題の量、内容、テキスト代が"ちょうどよい"と答えていた。また、学習効果についてもほとんどの学生が"役立つと思う"と答えており、今回の学習により看護学科入学前の基礎知識を補う効果はあったのではないかと推察できた。今回の調査では、対象者の背景については詳細な調査をおこなっていないため、今後は対象者の学習履歴や推薦入試、AO入試と一般入学者との比較、入学予定者全体を視野に入れた入学前学習課題についても検討していきたい。