著者
赤瀬 朋秀 秋葉 哲生 井齋 偉矢 鈴木 重紀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.655-663, 2000-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7
被引用文献数
5 6 3

1997年12月より1998年2月の3ヵ月間に, かぜ症候群にて調査対象施設を受診した患者875名に関して処方薬の調査を行った。対象患者を西洋薬治療群, 漢方薬治療群, 西洋薬漢方薬併用群に分類し, 平均年齢, 薬剤数, 処方日数を調査し1日当りの薬剤費を算定したところ, 西洋薬治療群では203.8円, 漢方薬治療群では119.6円, 西洋薬漢方薬併用群では215.9円となり, 漢方薬単独で治療した群の薬剤費は西洋薬で治療した場合と比較すると60%ほど安価であり, 経済効率がよいことが明らかとなった。また, 平成10年度の薬効別の医薬品売上のシェアから削減可能な薬剤費を予測すると, 最低でも415億円の削減が可能であることが推測された。以上より, かぜ症候群の治療に, 漢方薬を取り入れることは経済効率が極めて高いことが示唆された。
著者
秋葉 哲生 荒木 康雄 中島 章 古川 和美 河田 博文 鈴木 重紀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-155, 1991-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

年間に6同以上感冒症状を呈する小児を易感冒児と定義した。これら易感冒児18例に, 治療目的で, 医療用柴胡桂枝湯製剤0.1から0.259/kg/日を投与した。4ヵ月から30ヵ月にわたる服用の結果, 著効4例22%, 有効12例67%, 不変2例11%, 悪化なしという成績であった。服用後に保護者に対し書面にて回答を求めた結果では, 発熱の改善を挙げたものが最も多く, 14例78%に達した。次いで食思の改善が7例39%であった。投与中および投与後にもみとめるべき副作用はなかった。感冒に罹患しやすい状態の改善を目的とする現代医薬品を見い出し難い現状において, 柴胡桂枝湯はその高い安全性からも, 小児の易感冒状態改善にひろく用いられ得る薬剤と考えられる。