- 著者
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鎮西 清行
光石 衛
佐久間 一郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本生体医工学会
- 雑誌
- 生体医工学 (ISSN:1347443X)
- 巻号頁・発行日
- vol.Annual57, no.Abstract, pp.S19_2, 2019 (Released:2019-12-27)
筆者らはPMDA科学委員会が2018年3月に公表した「AI を活用した医療診断システム・医療機器等に関する課題と提言2017」(PMDAレポート)の起草に参加した.その後,本邦での機械学習応用製品の承認事例が登場し,AI技術を利用した画像診断支援システム(AI-CAD)に関する開発ガイドライン・評価指標が公表に近づいている.これらを踏まえてAI応用医療機器のレギュラトリーサイエンスの観点からいくつかの論点を提供する.1) PMDAレポート: AIの特徴と,AIが医療診断システム・医療機器等に応用された時に考えるべき点を述べている.技術側面,規制側面にとどまらず,倫理的影響まで中長期的視点から述べている.2) AI-CAD開発ガイドライン・評価指標: 次世代医療機器・再生医療等製品評価指標は審査の際の参考文書,開発ガイドラインは開発者のための参考文書である.前者は学習データとテストデータの分離,データの品質,市販後学習の留意点などを述べ,後者はAI応用製品の開発プロセス,統計技法について述べている.3) 市販後学習は有効か: 日米では市販後学習を含む製品の承認例がない.規制上の困難だけが理由ではなさそうである.結局「ペイするか」が課題ではないだろうか.