著者
鐘ヶ江 樹
出版者
長崎国際大学国際観光学会
雑誌
観光学論集 = The NIU Journal of Tourism Studies (ISSN:18809219)
巻号頁・発行日
no.16, pp.31-37, 2021-03

日本における八景の概念は中国から伝来し,全国的に広がりを見せた。特に江戸時代には旅行ブームの影響を受けて,八景は地誌や案内図として描かれた。本研究は,江戸時代に描かれた金沢八景の絵図や浮世絵,『新編鎌倉志』や『三浦紀行』などの史料から八景と旅の関係を明らかにするものである。江戸時代の金沢八景に選定された景観は,美しい景観が選定されたものであり,一般的な季節や時間帯を取り入れた八景としての選定ではない。また,『新編鎌倉志』は『三浦紀行』の参考にされている文章が見られたことから,『新編鎌倉志』はこの時代の金沢近郊の旅において重要な役割を担っていたと考えることができる。