著者
長沢 佳熊 樫田 義彦 城戸 靖雅
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.310-316, 1960

昭和33年10月,太平洋海域で漁獲した汚染度のいちじるしいマグロ類肝臓を入手したので,これらのうちの4検体についてTomskinsのイオン交換樹脂法および沈殿法によつて放射性核種を分離し,半減期,吸収およびエネルギーの測定によって<SUP>59</SUP>Fe,<SUP>65</SUP>Zn,<SUP>115m</SUP>Cdおよび<SUP>90</SUP>Sr+<SUP>90</SUP>Yを確認し,さらにそれぞれを定量した.<BR><SUP>65</SUP>Znならびに<SUP>59</SUP>Feは,<SUP>55</SUP>Feとともにビキニ海域で漁獲された魚類からすでに検出されている.また<SUP>113</SUP>Cd,<SUP>113m</SUP>Cdおよび<SUP>115m</SUP>Cd<SUP>9</SUP>がマグロ類から定性的に検出されているが,今回は<SUP>115m</SUP>Cdのみを確認し,定量をおこなった.<BR><SUP>65</SUP>Znおよび<SUP>59</SUP>Feは明らかに誘導放射性核種であり,また<SUP>115m</SUP>Cdはfission product中の生成率はきわめて少ないと考えられるにもかかわらず,これらが汚染の主要原因となっていることは興味深い.<BR>今回分析に供した以外の生肝臓数検体についてγ線スペクトルを測定した結果,<SUP>65</SUP>Znおよび<SUP>59</SUP>Feはいずれの検体についても共通に認められたが,さらに未確認ではあるが<SUP>54</SUP>Mnと思われるピークを認めた.