著者
西田 裕介 間嶋 幸絵
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences Seirei Christopher University (ISSN:18811523)
巻号頁・発行日
no.1, pp.75-81, 2006-03-31

本研究の目的は拍子の違いが自律神経系に与える影響について心拍変動を用いて検討することである。方法は健常成人男性8名を対象に、安静座位にて2、3、4拍子の音をランダムに暴露し、各拍子における心拍変動を測定した。心拍変動の自己回帰スペクトル解析によって副交感神経活動と交感神経活動を評価し、RR間隔時間から心拍数の変化を安静時と音暴露時で比較した。その結果、平均値を比較すると、すべての拍子で副交感神経活動を表す高周波成分(HF)が安静時と比べ増加し、交感神経活動を表す低周波と高周波の比(LF/HF)が低下する傾向を示したが、統計的に有意差は認められなかった。また、RR間隔平均の結果ではすべての拍子で延長し、安静時と3拍子の条件間で有意な差を認めた(p<0.05)。つまり、3拍子の聴取により心拍数が有意に減少したことから、3拍子は他の拍子に比べて副交感神経の活動を促進させる特徴をもち、生体調整に与える効果が大きいと考えられる。