著者
神崎 修三 阿部 修実 田端 英世
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1085, pp.159-166, 1986-01-01
被引用文献数
2 1

無添加非晶質窒化ケイ素粉末及びイットリアを10wt%添加した粉末を窒素中, 1200℃から1500℃で1時間結晶化した. 得られた粉末を1750℃, 1時間, 49MPaの条件でホットプレスし, 粉末の特性, 焼結性及び焼結体の機械的性質について検討した.<br>イットリアの添加は, 非晶質窒化ケイ素のα相への結晶化及びα/β転移のいずれも促進する. 無添加で結晶化させた粉末は形や大きさが不規則になるが, イットリアを添加して結晶化させると微細で均一な粒径のα及びβ窒化ケイ素粒子となる. イットリアを添加後仮焼した場合, 焼結体のかさ密度, 室温及び1200℃での抗折強度は仮焼温度とともに増加するが, 窒化ケイ素を結晶化させた後イットリアを添加した場合は密度, 強度とも高温で仮焼するほど低下する. 仮焼した粉末のα相含有率は焼結体の密度及び強度にほとんど影響を及ぼさない. 非晶質窒化ケイ素にイットリアを添加して結晶化した場合, 焼結性, 機械的性質及び微構造を制御する要因は粉末の形態及び窒化ケイ素とイットリアの反応生成相であると考えられた.