著者
陳 金霞
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-107, 2004-10-01

医療保障は、人々の生命と健康の維持に直接関連しており、社会保障の重要な一部である。如何に質の高い医療サービスを提供していくかということは、先進諸国だけではなく、世界各国の共通の課題である。本稿においては、欧米の先進5カ国、ドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、アメリカの医療保障制度の沿革、現状及び制度改革の動向について概観すると共に、これらの国々の共通点と相違点を検討した上で、これらの国々の医療保障制度改革が日本に対する示唆について考察している。グローバル化の中では経済的な国際競争と同時に文化的・社会的な国際協力が求められる。異なった欧米先進諸国の医療制度改革の特徴と問題点の比較は重要な課題である。医療制度の国際比較の観点からは、イギリス(NHS)とアメリカ(メディケア・メディケイド及び民間保険)を両極として、他の国は中間的な位置づけにあると考えられる。