著者
青木 均
出版者
愛知学院大学
雑誌
地域分析 : 愛知学院大学経営研究所々報 (ISSN:02859084)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.87-100, 2008-09

百貨店経営統合の一事例として大丸と松坂屋の経営統合を取り上げる。市場が縮小するなか,効率経営を実現する大丸が業績低迷の松坂屋を実質的に吸収する形で経営統合が進んできた。過去10年間大丸は最大の顧客満足を最小の費用で実現することを理念として営業改革を中心として経営改革を進めた。営業改革の本質は百貨店経営にチェーンストア経営の考え方を取り入れ,標準化と分業化を進めることだった。営業を前方業務と後方業務に分け,後方業務は標準化・システム化して費用削減に努め,前方業務は顧客満足向上の切り札として充実させた。その改革を松坂屋に移植することが経営統合初期段階の眼目になっている。改革移植の進行で松坂屋の業績が改善しつつある。