著者
飛田 英伸
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.1-14, 2019-05-15 (Released:2020-05-15)

翻訳小説として最初の流行作となった織田純一郎訳『花柳春話』は、以後の翻訳小説の模範となった。『花柳春話』と同一の書肆から出版された関直彦訳『春鶯囀』も、その影響を受けたと考えられるが、文体のあり方には違いが見られる。本稿では、『花柳春話』を踏襲する翻訳小説の系譜と、関が記者を務めていた『東京日日新聞』における文のあり方を検討することによって、『春鶯囀』の文体のあり方がどのように画期的なものであり、それが何を背景として生じたのかについて明らかにするとともに、その翻訳が小説に何をもたらしたのかについて論じた。