著者
吉岡 政美 飯塚 嗣久 笹盛 幹文 扇谷 稔 山内 良司
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.35-39, 2004-03-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14

【要旨】当施設では,QUEST Medical社製MPS心筋保護液供給システムを使用し,マイクロプレジャー心筋保護法を行っている。1回注入量は血液量で400mLとし,塩化カリウム,ニコランジル,塩酸ジルチアゼム,硝酸イソソルビド,マグネシウムを添加した。全症例で迅速な心停止が得られた。また,遮断解除後の除細動器使用率は12.5%であった。体外循環離脱時のカテコラミン投与量はDOAが4.0±1.1γ,DOBが3.6±1.5γであり,術後のCPK-MBは,ICU帰室時の9.7±2.31U/Lをピークに翌日には5.4±1.31U/Lに低下した。晶質液を使用しないため薬剤の総注入量は48.1±12.4mLであり,体外循環中の過度の希釈を防止できる。それにより輸血率や輸血量を減らすことができると考えられた。また,カテコラミン投与量が少なく,CPK-MBの過大な上昇も見られず十分に心筋を虚血障害から保護することができていると考えられた。マイクロプレジャーは晶質心筋保護液を使用せず,血液に心停止薬液と添加薬液のみを加えた微量でシンプルな心筋保護法であり,良好な心筋保護効果が得られる有用な心筋保護法と考えられた。