著者
斎藤 人志 田中 弓子 吉谷 新一郎 小坂 健夫 喜多 一郎 高島 茂樹
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.1015-1021, 2004-09-30 (Released:2010-09-24)
参考文献数
13
被引用文献数
4

絞拒性イレウスに対する術前診断は必ずしも容易ではないが, 最近の腹部超音波検査 (US) やCT, およびMRIなど種々の画像診断法の進歩, 普及により術前の正診率が著しく向上してきている。なかでもUSの診断上の利点としては, (1) 前処置なしに簡便に行えること, (2) 非侵襲的であること, (3) 繰り返し行えること, (4) 腸管の壁や内容および蠕動運動など腸管の情報とともに, 腹水の有無など腹腔内の情報がリアルタイムに得られること, (5) 任意の断面で観察できること, などがあげられる。とくにリアルタイムで情報が得られることから絞拒性イレウスと単純性イレウスの鑑別診断には極めて有用である。絞拒性イレウスのUS診断上の所見としては, 腸管壁の肥厚, 腸管の蠕動運動の消失, 高エコーを示す腸管内容, 腹水, 腸管壁内ガス像, およびpseudotumor signなどがあげられる。しかし, 施行者の技量や腸管内ガスの量により得られる情報量が大きく左右されることも事実である。したがって, より正確な診断のためには理学的所見はもとより, CTなど他の画像診断との併用による総合的な判断が重要になることはいうまでもない。本検査法を積極的に活用し, 経験を重ねていくことが重要であることを強調したい。