著者
高田 九二雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.197-200, 1983-03-05
被引用文献数
2 4

形状不定の1個のスズ試料{(O.1〜1)mg}を直接黒鉛炉に入れ原子化し,数ppmから数十ppmの銅及び百分の数ppmから数ppmの銀を原子吸光法で定量した. 分析のための標準化には定量元素である銅及び銀の標準溶液を用いた. 銅及び銀の原子化温度は2800℃及び2500℃で,原子化時間はどちらも45秒とし,吸光値は原子吸光シグナルの面積値とした. 原子化温度が高いため,主成分のスズも煙霧として大部分が銅や銀とともに蒸発し,バックグラウンド吸光(吸光度としてO.01〜O.1)を与えるが,これはゼーマン原子吸光法を用いることで補正された. 数十ppmの銅及び十分の数ppmから数PPmの銀の測定変動係数は(6〜28)%であった. 検出下限は,銅の場合O.082ng(試料量をO.4mgとするとO.2ppm相当)であり,銀の場合O.O11ng(試料量を1mgとするとO.O1ppm相当)であった. 分析時間は1試料につき試料のひょう量時間も含め約5分であり,黒鉛炉は(120〜200)回の繰り返し使用が可能であった.