著者
橋本 亮治 高見 勝次 田中 博之 松村 昭 野口 和子
出版者
中部日本整形外科災害外科学会
雑誌
中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集
巻号頁・発行日
vol.105, pp.262, 2005

長管骨転移性骨腫瘍の治療で整形外科医が実際に携わるのは、病的骨折を起こしてからが多い。骨折により、疼痛、上下肢の著しい機能障害などを引き起こすが、一般骨折と異なり予後や原発腫瘍の病態などにより積極的治療を躊躇することがしばしば起こる。治療の方法として手術は医療側にとってもリスクは大きいが、早期に強固な固定により疼痛の緩和を図り、QOLの改善とADLの維持を求めることは、患者側での治療の満足度を決して低くするものではないと考える。今回1998年から2005年に当科で手術を行った四肢長管骨転移性骨腫瘍について、原発巣、転移部位、病的骨折の有無、インフォームドコンセント、手術方法、疼痛緩和、予後などを中心に検討をおこなった。症例は12名(男7名、女5名)で年齢は39歳から86歳までであった。原発巣(重複癌を含む)は、肺癌5名、肝細胞癌2名、乳癌2名、腎癌1名、前立腺癌1名、中咽頭癌1名、胆嚢癌1名で、病的骨折は10名に認めた。手術は本人の最終決断によることが多く、手術方法としては、1例(人工骨頭使用)を除く11例に髄内釘による固定を実施した。髄内釘は侵襲が少なく固定力が強固なため、上肢では早期からの症状緩和が図られ、下肢では早期の動作訓練が可能であった。以上の結果も踏まえ当科での四肢長管骨転移性骨腫瘍の治療方針についても考察する。